【出版時評】復活する東京版権説明会

2023年5月23日

 感染症自体がなくなったわけではないが、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い行動制限もなくなり、会合なども増え始めている。2年間中止が続いてきた「東京版権説明会」も、今年11月1日の開催が発表された。

 

 東京版権説明会は、東京国際ブックフェアが2016年で閉幕したことに伴って、出版社の有志がその翌年に第1回を開催した。版権取引のノウハウを持たない中小出版社が、主にアジア圏の出版社とビジネスできることを目指していた。

 

 最初は出展社26社だったのに対して、6カ国から250人が参加する盛況で、第2回からは出展社が50社以上と倍増するなど好スタートを切ったが、20年からはコロナ禍によって中止されてきた。

 

 今回は出版文化産業振興財団(JPIC)が共催の形で事務局に加わる。これにより、事務局の負担が分散され、今後の継続性につながることも期待できる。JPICは書店議連の事務局も務めるので、韓国のような出版物の海外発信に対する支援策として発展させることもできそうだ。

 

 出版物も国内市場の停滞によって、海外市場の重要性が高まっている。コミックはもちろんのこと、児童書や小説など様々なジャンルで需要も期待できる。インバウンドも回復し、円安も続いている今は、日本コンテンツを海外に売っていく好機でもあろう。

 

【星野渉】