早川書房が創刊する「ハヤカワ新書」で、電子書籍付き版を販売するという。「本」に同じ内容の「本」を付けるわけだが、紙と電子という2つのフォーマットを使い分けたいと考える読者にとっては朗報である。
これまでも紙の本に電子コンテンツを付けることはあったが、データを提供してしまうと、たとえ善意であっても、利用者が勝手にコピーしたり、ネットで公開してしまうことを防ぐことができない。
今回はNFT(非代替性トークン)技術を利用することで、そうした行為を防ぐ。さらに、メディアドゥのNFT市場「FanTop」で電子書籍を売り買いすることもでき、その収益を権利者に還元することも可能だ。
このところ、マンガを電子で読むことが多くなった。電子コミックのおかげでマンガに戻ったといえる。読むのはだいたい移動中など、スマートフォンである。一方、文字ものの本は、紙版を買うことがまだ多い。しかし、出先で読む場合、電子版も欲しいと思うことがよくある。特に分厚い書籍の場合、カバンが膨らむのが嫌で、なかなか持ち歩くことができない。
紙版に電子版が付いていれば迷わなくて済む。「ハヤカワ新書」の価格は1000円ほど。電子版付きはプラス400円程度だという。この差は微妙だが、電子版付きを買ってしまいそうな気がする。
【星野渉】