【行雲流水】2023年8月8日付

2023年8月8日

 某月某日

 富士裾野の山小屋で4年ぶりの役員合宿。テラスで5時間ぶっ通し、各々思うところを話す。会社から離れた自然の中で、5年後、10年後のあるべき姿を熱く語る…はずだったが、フタを開けてみると現在進行形のものを含め、近未来の絵しか出てこない。目先の課題山積ゆえ、致し方なしか。 

 夕刻から、山口由佳子社外取締役(妻です)の手づくり餃子と鶏唐揚げ(ゴマ油しかなくて失敗!)。そしてメインは〝幻の豚〟と呼ばれる中国は浙江省金華地区原産の金華豚の肩ロースの塊を、表面に焼きを入れた後、ホイルで包み炭火でじっくり焼き上げ休ませる。脂がウマい。二次会の記憶なし。

 

 某月某日

 今月の小紙「トップインタビュー」で、「婚活」を提唱したジャーナリスト・白河桃子さんと対談。結婚したくない→したくなる、子どもを産みたくない→産みたくなる。「社会の仕組み」を変えていくために、ジャーナリズムの果たす役割は極めて大きいと話す。

 例えば、保育園問題。「政治家にとって新聞やテレビに出ていることが世論。待機児童の問題は、『保育園落ちた日本死ね』がブログで炎上するまで、新聞・テレビに多様性がない故に、いつまでたっても世論にできなかった」と。

 一昨年、「働かないおじさんが御社をダメにする」(PHP新書)を上梓。御社=活字業界としたら?と問えば、「働かないおじさんとは『変化を拒む人』。いまやコンテンツを発信するのはオールドメディアだけではない。昔は新聞社やテレビ局は給料が高いので転職しないと言われていたが、若手がYahoo!のような会社にどんどん流出している。転職できない人は『働かないおじさん』となって溜まりやすくなっている」と。もう一つ、女性が新聞記者になりたがらない生々しい理由には驚いた。29日発行の紙面をお楽しみに。

 

 元東急マンとして興味深かったのは取材で伺った、白河さんが会員になっているプライベートクラブ「OCA TOKYO」。駅直結「丸の内テラス」の地下階にある秘密めいた小さな扉の奥には、5フロアにわたり大小様々のラウンジやバー、様々な個室、イベントスペース、プライベートシアター、レストランがある。充実したライブラリーの選書もなかなか。

 入会金55万円、年会費46万円ほどは、仕事とプライベートの新しい過ごし方を求める人にとっては、リーズナブルかもしれない。(代表取締役・山口健)