コミックスなどへのPubteXによるRFIDタグの挿入が始まった。講談社、小学館、集英社が8~9月発売のコミックスと一部の文庫に入れだした。実際、家人が書店で買った『重版出来』の20巻(最終巻)にも、しおり型タグが入っていた。
9月からは書店店頭での実験も始まる。当初は2店舗ほどだが、2025年のサービス開始に向けて、数店舗でテスト運用を行うことになる。
タグは12・5センチ×6・5センチほどの「しおり」状の紙片に貼り付けられていて、誤飲防止や廃棄についての説明文と、27桁の数字が印刷されている。この数字「EPCコード」はタグ1つずつユニークに振られており、同じタイトルでも1冊ずつ識別できるのだ。
ただし、タグには「EPCコード」しか記録されていない。製本所でタグを挿入した本のコードを読み取り、クラウドでISBNと紐づけられる。その後の流通、販売のデータもクラウドに蓄積される。このため、本を持っている人のタグから情報を読み取られても、本の情報などが洩れる心配はない。
大手三社がタグの挿入を始めるために、数十社の製本会社が対応したという。これが多くの製本会社に広がれば、出版社がタグを挿入するインフラになる。出版流通の効率化や取引条件の多様化などに結び付くことを期待したい。【星野渉】