書店への参入者支援を
大手取次2社に、この15年間の取引書店開店・閉店推移を出してもらった。巣籠需要の終息や諸経費高騰の影響で、この1、2年閉店数が増えているのではと予想していたのだが、数字をみると2018年から急速に開店数が減っていることがわかり、さらに懸念が深まった。
それまで両社合わせると毎年100店以上あった開店が、18年以降は80店台、60店台と減少。しかも、新規参入による開店は、手で数えられるほどしかないという。市場環境が激変する中、既存の店舗がある程度淘汰されるのはやむを得ない。一方で、新規参入者が新しいサービスや価値を生み出せていれば、産業全体は強くなる。しかし、参入者がほとんどいない書店の状況は、店舗が減ること以上に深刻ではないか。
一方、個人で書店を開く人々は絶えないという。大学生にも、書店に強い興味を持つ若者が一定数いる。出版業界は、そういう書店にポジティブなイメージを持つ人々を迎え入れ、支援する態勢を整えているのだろうか。
独立系書店が増えているアメリカでは、若い創業者たちを書店組合が支えているという。韓国では書店組合が政府の支援を受けて年に2回、書店創業希望者向けの講座を開催し、毎回100人ほど受講するという。取引制度や流通の改革とともに、参入者を支える取り組みも大切ではないか。【星野渉】