事前情報と事前指定の大切さ
弊社の「書店店長セミナー」で、大垣書店京都本店の中澤めぐみ店長に「『これからの書店』を考える」と題して話していただいた。かつて三省堂書店が京都に店舗を出したときに入社し、同書店の撤退で退社、その後、大垣書店に入社したというベテランである。
11月に開店を予定する麻布台ヒルズ店に触れ、2020年10月にリニューアルした京都本店を詳細に紹介。自店の在り方を「書店のテーマパーク化」と表現した。
そのうえで、取次や出版社への要望として、「必要なものを必要なときに必要なだけ」と述べ、重版発表商品の客注確約、事前指定拡大のための発注サイトの一元化や、トーハンの「enCONTACT」や弊社の「Booklink」の情報充実化などを求めた。
一方、出版社側からは書店への配本が難しくなっているという声が強まっている。取次各社は返品削減に向け、予約や事前発注などに舵を切り、さらにこのところの販売不振もあって書店の発注が極端に減っているというのだ。
書店は「必要なもの」を求め、出版社は書店での展開を期待しているのに、熱量がうまく伝わっていないようにもみえる。熱量を伝えるためにはやはり情報が必要だ。中澤店長が指摘するように、事前の情報提供によって熱を伝えることが、ますます重要になっているように思った。【星野渉】