【出版時評】2023年10月17日付

2023年10月23日

 

人々の興味関心を本に向ける

 

 人々が外出や旅行に出かけるようになったことで、本が売れなくなったというのはあまりに短絡的かもしれないが、巣籠需要からここまで急に市況が悪化すると、人の興味・関心は意外と簡単に移ろうのかもしれないと思わされる。

 

 そう考えると、その逆もあり得るわけで、きっかけさえあれば、本への興味を掻き立てることができるかもしれない。特に知的好奇心を刺激したり、趣味嗜好にかかわる本は、そうした傾向が強そうにも思う。

 

 人々が興味を持つきっかけは、やはりテレビやネットなどで「面白い」「すごい」と広く話題になることが有効であろう。もちろん、簡単にこちらの思い通りに話題にできるわけではないが、業界あげてのキャンペーンなどで仕掛けることはできる。

 

 今年も10月27日から11月23日まで、読書推進月間「BOOK MEETS NEXT2023」が始まる。業界全体でいろいろなイベントを集約して盛り上げるキャンペーンは、世の中に話題を提供する絶好のチャンスになる。

 

 それには、オリンピックなど大イベントのように、キャンペーン全体の統一感やプロモーション活動が大切になる。費用も人手もかかる大仕事だからこそ、業界全体のリソースを業界団体に集めて対応する必要があるのだろう。昨年に増しての盛り上がりに期待したい。【星野渉】