冬と言えば「軽井沢」。夏が苦手なら暑い時には涼しい地へ。ですが、人があふれる観光地に足を運ぶ気にはならないのです◆昔は冬の静かな軽井沢へ幾度となく向い、どこか異国を味わう気分に浸っていました。軽井沢には沢山の文豪たちの逸話も残っていますが、私が何時も注目する人物は大賀典雄氏です。軽井沢駅からほど近いところに「軽井沢大賀ホール」を設立した人です。彼は指揮者のカラヤンとつながりの深い「ソニー」の元会長で、ソニーからの退職金16億円をかけホールを作ってしまったのです◆私の夢「自分のホール」はもう実現不可能となりましたが、芸術分野に全く気のない日本という国で、ご自分も芸大の声楽科を出てクラシック音楽に造詣のある金持ちにしか出来ない。憧れの人です。やっと東京も涼しくなってきました。冬と言わずこの秋は、軽井沢で武満徹の「燃ゆる秋」を歌いたい気分です。【田中良子】