【行雲流水】2023年10月24日付

2023年10月27日

 某月某日

 

 円安と原油高で、庶民にとって欧米は、遠きにありて思ふもの…。というわけで、さほど円安が進んでいない、空路2時間余りの隣国はベストシーズンのソウルへ。
 金浦空港から30分ほどのソウル市郊外で、焼肉さながらに炭火焼きしたウナギを持参した塩胡椒で合わせる。香ばしくさっぱりしていてウマい。夜は、『良味屋』の「特牛ミノ」とテッチャン(大腸)。ベテランの女性スタッフが見事な手さばきでタレに絡め二度焼きにする。「最高金賞!」に格付けし、ひと昔前にはなかったワインバーに流れる。コロナ禍を経て、町の彼方此方が様変わりしている。

 

 某月某日

 

 翌夕、小紙の連載「ソウル通信」をお願いしている白源根さんと、サムギョプサルの店で初顔合わせ。
 大学卒業後日本に渡り、新聞奨学生として読売新聞の販売店で働きながら上智大学新聞学科を卒業。帰国後、日韓の出版学会会員となり、出版業界の専門家として政策立案の諮問委員や業界団体のブレーンとして幅広く活動している。小社・星野とは20年以上前にソウルで開催された国際出版研究フォーラムで出会い、当時は同年代の若手同士、親しくなった。ちなみに小紙で最初にお願いした連載のタイトルは「サムギョップサル」。
 初対面ながら、人当たりが良く、学究肌でリベラル派、眼鏡の奥の眼光鋭い〝国士〟とみた。来年の「活字文化フォーラム」に登壇してもらいたいと思っている。

 

 某月某日

 

 新聞大会の前夜、軽井沢駅近くの居酒屋で日本地域紙協議会の懇親会に増田とともに参加する。
 新体制で会長に就任した夕刊三重・山下至社長の挨拶に続き、副会長となった島根日日新聞・菊地恵介社長が、「地域紙が連携して広告営業をするために、まずは各紙の媒体資料をまとめたい。また、相互に記事を利用する仕組みを考えたい」と具体的な抱負を語る。
 実は5年ほど前に、地域紙共通のPR記事掲載を検討したことがある。結果的には100紙の合意形成と各社との個別対応が難しいことと、想定される広告収入の分配額と各紙の広告料金の間に大きな隔たりがあり断念したが、可能性は大いにある。記事の相互利用については、小社が検討している「記事バンク(仮称)」の中でサブシステムとして提供できるかもしれない。「山下丸」の二本マスト=菊地氏と市民タイムズ・新保裕介社長の両副会長に期待したい。【山口健】