【行雲流水】2023年11月7日付

2023年11月6日

 某月某日

 

 読売新聞大阪本社で、6月に広報宣伝部長に着任した平井久之さんと面談する。同社は従前より子ども記者が制作する『こども夢新聞』『豊中こどもSDGs新聞』など、将来の読者づくりに注力していて、この日見せてもらった『こども堺G7新聞』も堺市に住む子どもたちが取材して制作したもの。地元企業などが賛同、広告協賛し7万部を発行したという。

 

 そのほか、興福寺、東大寺など奈良の寺を巡って隠された謎を解き明かす体験型ゲーム・イベント「謎解き寺巡り」も新聞社主催のイベントとしてはかなりユニーク。

 

 大阪本社らしい軽快なフットワークで、新たなチャレンジが続く。

 

 某月某日

 

 神戸新聞社に高梨柳太郎社長を訪ねる。話題となった「神戸新聞NEXT」のプロジェクト、「秘密のコンサート 六甲山×クラシック」が面白い。六甲山系を舞台に、地元ゆかりのクラシック音楽家の演奏と大自然の景観を電子版の読者に楽しんでもらうというもの。紙ではできないシカケである。

 

 続いてBL出版へ。落合直也社長とは3年ぶりか。ウクライナ戦争やパンデミックで苦しむ子どもたちに希望を伝えたいと、24人の絵本作家が無償で協力し3月に発刊した『地球パスポート』は即重版となり7千冊。ジャバラ製本で、広げると幅は2mにも。利益の半分を支援団体に寄付する。

 

 3月のボローニャ・ブックフェスについて、「韓国やドイツ、フランスなどは、まとまって自国文化を発信している。日本は出版各社バラバラ。国を挙げて多くの出版社が出展しやすい環境作りをするべき」と。「新聞社に書評を依頼するのに、最近はどの部署のどの人に送ったらいいのか窓口がさっぱりわからない」とも。大企業病か?

 

 某月某日

 

 秋晴れの土曜日。齢96、〝活字中毒〟の母を連れて「神保町ブックフェスティバル」へ。ごった返す人混みの中、あれもこれも欲しいと、物欲旺盛。「幕末・維新 彩色の京都」(京都新聞出版センター)「武士の家訓」(カンゼン)「木曽義仲」(吉川弘文館)「戦国武将 完全ビジュアルガイド」(カンゼン)などを購入。どれもお買い得!

 

 「神田古本まつり」では、私の生まれ年=昭和33年2月発行の「一年の学習」(学習研究社)をゲット。イラストとテキスト、構成のすべてが秀逸。「昭和レトロ」と懐かしまず、こうした良質なものを今の子どもたちに読ませたい。【代表取締役・山口健】