ブックセラーズ&カンパニー新しい流通にも注目
紀伊國屋書店とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、日本出版販売(日販)が設立したブックセラーズ&カンパニーが出版社向け説明会を開くなど活動を本格化させている。3事業年度で仕入れの半分を出版社との直接取引にし、1割は買切取引にすることを目指すという。
これまでも書店と出版社の直接取引、買切や返品率圧縮による書店マージン増率などの試みは多く行われてきたが、広がりに欠けていた。ブックセラーズ&カンパニーは合わせて1000店舗というバイイングパワーを背景に、一気に取引制度の改革を進めようとしている。
社長に就任した宮城剛高氏は、紀伊國屋書店で海外店舗の経験が長いという。出版社との直接取引や返品を前提としない仕入など、各国で多様な取引を経験してきている。
また、日販が物流などインフラを担うのもポイントだ。当社セミナーで紀伊國屋書店の藤則幸男副社長は、新会社始動について「日販の決断が大きかった」と強調した。
日本の取次は出版社から仕入れた商品を書店に卸すモデルだったが、今回は物流を担当して手数料を得る形に転換する。売上規模は小さくなるが、送・返品、店間移動などモノを動かせば手数料が入る。雑誌配送を基盤に構築した取次システムが成り立たなくなる中で、新しい流通モデルがどのように成立し得るのかも注目点だ。【星野渉】