いまこそ参考になる海外事情
当社が年間を通じて開催している書店店長セミナーに、紀伊國屋書店パシフィックエイジアン地区副総支配人兼マレーシアエリア支配人の里見幸一郎氏が登壇した。アメリカの旗艦店ニューヨーク店やシンガポール店など海外店歴18年。セミナーはマレーシアのクアラルンプール店からの配信だった。
里見氏は、最近注目される欧米書店事情として、アメリカで「独立系書店」が勢いを増していること、そしてイギリスのウォーターストーンズとアメリカのバーンズ&ノーブルという劣勢に立たされていた大型チェーン書店が、ジェームズ・ドーント氏の指揮下で復活していることをあげた。
里見氏は実際にドーント氏が経営者となる前後のウォーターストーンズをみて、「全く変わった」と話した。チェーンとしての統一感がなくなり、各店の裁量で運営されるようになったと。ドーント氏が進める「独立系書店化(店舗のチェーンオペレーションをやめて地域に合わせる)」である。
書店が復活する背景について問うと、欧米では書籍が売れれば、書店の経営が成り立つことをあげた。「日本と違ってもともと書店が雑誌を扱っていなかったので、書籍で経営が成り立つ構造になっている」のだ。書店の粗利益率が取次経由で40%程度、直取引なら40%台後半という話に表れている。【星野渉】