紙市場の縮小と書店の苦境
2023年の出版市場は紙と電子を合わせて前年比2・1%減と2年連続で前年割れとなった。紙の書籍・雑誌が1兆612億円に対して電子出版は5351億円。市場の約3分の1を電子が占めた。
各分野がマイナスだったなか唯一伸びた電子コミックは4830億円。紙のコミックスを含む雑誌4418億円を上回った。ただ、紙の雑誌と書籍が680億円減少したことで、電子コミックの増加分351億円ではカバーできなかった。
特に週刊誌の減少幅が同比11・3%減と大きい。年間販売冊数は同15・8%減の1億6560万冊。17年時点の3億4364万冊の半分以下、販売冊数のピーク1993年16億5762万冊の10分の1以下だ。
いまも週刊誌報道が世間を騒がせ、大きな話題を提供しているとはいえ、紙雑誌市場の縮小傾向は続くだろう。コロナ禍後の売れ行き不振が続く中、地方でしっかり基盤を築いてきた有力書店からも悲痛な声が聞こえる。このままでは、どこまで書店数が減るのか不安になる。
一方で、何度か紹介してきたように海外では独立系書店が増えたり、苦境を脱した大手チェーンもあると聞く。そこでは書店が目指すべき方向が見えているのではないか。一朝一夕には変えられないと思うが、早急に手を打つ必要があることは確かだ。【星野渉】