取次史上最年少の社長誕生へ
多くの企業が年度末を迎えるのに向けて、人が動く季節となり、新社長内定などのニュースが目に付く。そんな中、日販グループホールディングス(GHD)の新社長に富樫建氏が内定した。就任時は48歳、40代での社長就任は 取次史上最年少だという。
富樫氏は近年同社が取り組む非取次事業を中心に実績をあげてきた。入場料のある書店「文喫」や、本があるホテル「箱根本箱」などの事業を率い、取次事業を他の事業で支えるという同社グループの戦略を担っている。
日本出版販売(日販)が2001年にスタートした「www・project(トリプルウィン・プロジェクト)」は、書店、出版社との契約によって、返品が発生しにくい取引を目指す改革だったが、このプロジェクトの責任者だった吉川英作現社長のもとに、まだ20代の富樫氏がいた。
出版流通・取引の改革は、まだそこまで危機感が共有されてはいなかった当時の業界で、目指していたレベルまではなかなか進まなかったが、いま出版流通が進もうとしている新たな方向性に先鞭をつけた構想だった。
新しい取り組みは、なかなか周囲の理解を得にくい。富樫氏は当時、そんな業界の雰囲気を肌身に感じていただろう。いま日販ではプラットフォーム創造事業を担当する。その手腕に期待したい。【星野渉】