書店経営を支える手段の一つとして、無人書店が注目されている。大手取次のトーハンは昨年3月に夜間・早朝を無人営業する「MUJIN書店」を、日本出版販売(日販)は9月に地下鉄駅構内に完全無人書店「ほんたす」をオープンした。
トーハンの「MUJIN書店」は、グループ書店の既存店舗に導入し、人件費を増やさず24時間営業にできたため、早々に増収効果を発揮し、11月には2店目、今年3月15日には3店目をスタートした。夜間でも一定の人通りがある立地であれば効果を発揮できそうだ。
日販の「ほんたす」は、東京メトロの溜池山王駅改札外、以前はカフェが営業していた15坪のスペースに出店。会員登録は8500人を超え、平均来店頻度は1カ月に1~2回、男女比は6対4、年齢層は40代後半~60代が40%強を占めるが、20代後半~30代前半も増えているという。
当初はコミックスなどが多かったが、需要に合わせてビジネス書、文庫、新書などを増やし、在庫量は当初の2倍、アイテム数は7倍にしたという。書籍の需要が強いのだ。
いずれも品揃えやMDは人が行うが、LINEアプリで入退店を管理し、清算はフルセルフレジで行うなど、近年の新技術で可能となった。経済産業省が書店振興でプロジェクトチームを設置したが、ぜひとも書店のDXを進めてほしい。【星野渉】