皆さん、白モクレンにそっくりな「こぶしの木」をご存じですか。練馬区の木として指定されております。広大なだけの地味な地に育ち、未だこの区から抜け出せない人生です◆春の花といえば「桜」ですね、こぶしの花は桜人気に隠れていますが、つぼみはこどもの拳のようにふっくら膨らみ、咲き始めると白いフレアスカートが揺れるように、大木が白一色に変わる春の花です。私が住んでいた地域はもちろんどこも畑、畑でした。我が家の庭の隣の畑を挟み、豪農のお屋敷の庭の大木に咲くこぶしの花には毎年嬉しさ急増でした◆そして一番の思い出は父が窓から写生する「こぶし」です。風景画が得意な画家なのに、「出不精」という称号を持つメンドクサガリの父は旨い具合に素敵な題材を得て、儀式的に「こぶし」を描くのです。春の歌は色々ありますが、私の思い出は桜に完敗です。
♪春は名のみの風の寒さや～♪ 【田中良子】