梅の花が散り、しばらくすると燕の一群が飛来し、さらに寒さが緩み桜のつぼみがほどけてくると裏山からウグイスのさえずりが聞こえてきた。身の回りにある自然の営みは、淡々と春を迎えた◆菜園では夏野菜の小さな苗が育ち始めている。摘まみにくいほどの小さな種が、盛夏のころには私の背丈を追い越し、たくさんの実をつけ食卓に彩りを添えてくれる。近年の酷暑でトマトやキュウリの花の付き具合が悪かったり、収穫前に実が傷んでしまうことが増えているものの、気候の移ろいとともに毎年着実に収穫を楽しませてくれる◆自身に置き換えるとどうだろう。周りに左右されない平常心は保てているだろうか、ちょっと心もとない。忙しくも何ということもない日々を過ごし、週末には菜園に手をかけながら自然の変化を楽しむ。時には自分の身に余る課題に刺激を受けながらも、淡々とその役割を果たしていきたい。【櫻井俊宏】