改めて注目される書店の文具販売
文具は書店の複合商材として古くから扱われてきたが、ここにきて改めて脚光が当たっている。日本出版販売(日販)が取引する書店では13カ月連続、そのうち文教堂グループホールディングスは20カ月連続で文具売上が前年同月を超え続けている。
かつて駅前や学校の周りに必ずあった文具店は、書店以上に大きく減少しており、書店が文具の販路として期待されている。日販が季節ごとに開催する商談会に参加するメーカーは毎年増えている。
一方で、書店側には買い切りに対する抵抗感があり、平均単価が250~300円程度と低価格なうえに、品数が多く管理が煩雑な文具を敬遠する向きもあったが、出版物の売上が下がる中、確実なニーズがある日常使いの文具などは魅力的な商材だ。
書店では筆記具の構成比が他業態よりも高く、学童文具の棚を設けると、学習参考書のお客が購入するなど相乗効果もあるという。また、もともと多品種少量の単品管理に慣れていて、客注による取り寄せにも対応するといった点は他のチャネルにはない利点になる。買い切りも慣れれば条件交渉の余地があるのでプラスと捉えられる。
やはり、他の専門小売に比べて書店は集客力がある。値引きを売りにする量販店が隣接している書店でも、お客が差別化されているので文具の売れ行きに影響はないという報告もある。【星野渉】