【出版時評】2024年7月2日付

2024年7月2日

 

FAX用紙代が年間600万円に

 

 当社セミナーで、紀伊國屋書店店売総本部販売促進本部長兼店売推進部長を務める葛城伸一氏に、「書店からみて有効な出版社の販促方法とは」のテーマで話していただいた。販促情報入手ツールとして当社が提供する「BooklinkPro」に当初から期待していただき、販促物について話を伺う中で、その考えを業界で共有したいと講師をお願いした。

 

 訪店、電話、メール、FAX、本部営業、拡材などについての利点・欠点から、実際に販促物の例もあげたわかりやすい内容だった。

 

 販促方法では、やはりFAXによるチラシ・注文書の提供が中心になっているとしたが、同時に大量のFAXを削減したいと語った。同社梅田本店には1日約300枚のFAXが届き、全店を合わせると用紙代だけで年間600万円に及ぶという試算も示した。しかも必要なのは10~20%で、あとはそのままゴミ箱行きだとも。

 

 視覚的にわかりやすいチラシ類は有効だが、紙を大量に消費するFAXは削減したいということだ。また、取次による見計らい配本が縮小する中で、日本を代表する書店である同社であっても新刊発注の重要度が増しているという。仕入れの判断に役立つ情報を素早く入手するため、出版社とのコミュニケーションがますます必要になるとまとめた。【星野渉】