流行っている書店も赤字に
このところ、地域で存在感を発揮してきたリージョナルチェーン書店の閉店が増えている。地域で人々の支持を得て繁盛してきた独立系書店や、カフェや多様な商材との複合で収益をあげてきた書店チェーンが赤字に陥るというケースも散見される。
コロナ後の生活変容で、ロードサイドの単独店などの売り上げ低迷が続き、同時に経費の高騰によって利益の確保が難しくなっている。こうした要因は一時的なものではないだろう。
書籍価格拘束法によって厳格に再販制度が運用されていて比較的中小の独立系書店が多く残るドイツでは、国内の書店数は3500店ほど。周辺のオーストリア、ベルギーなどのドイツ語圏を含めると5000店程だといわれる。
ドイツの人口は約8400万人、オーストリアは約900万人。おそらくドイツ語圏を合わせると日本と同じぐらいになる。日本の書店数は7000店程度とみられるので、そろそろ人口比でドイツ並みになりそうだということになるが、それでとどまるのか不安になる。
ドイツでは書籍の販売で書店が利益を得られる構造になっているが、日本の書籍の価格と粗利益率では、たとえ書籍が売れたとしても書店が利益を得ることは難しい。支持される書店すら経営を維持できないとなると、書店の減少は5000店で止まりそうもない。【星野渉】