このところ毎日、スマホでNHKラジオの配信アーカイブ「らじるらじる」を開いている。あまりラジオを聞く方ではなかったが、番組リストを見ると分野もさまざまで興味をひかれた◆個人的に好きなのは朗読やドラマ。はまっているのは月－金曜日午後9時15～30分に放送される「朗読の世界」。いま続いている壺井栄『二十四の瞳（全35回）』（紙面に載る頃には終わっているが）は、子供のころに読んだはずだが内容はほとんど覚えておらず、今さらながらでお恥ずかしいが、こんなに切ない作品だったのかと衝撃を受けた◆瀬戸内の島の分教場での女先生と子供たちのふれあいの児童文学とばかり思ってきたが、美しい島の風景や人々のやさしさとともに、教え子たちの命が戦地で失われ、戦争が引き起こす困窮や家族の崩壊が淡々と描かれる。児童文学という範疇を超えて、幅広い層の人たちに改めて原作本を手に取ってほしい。【櫻井俊宏】