【行雲流水】2024年8月27日付

2024年8月26日

 某月某日

 

 4回目となる「活字文化フォーラム」が会場、オンラインを合わせて約100名が参加し成功裏に終わる。来週号に掲載予定の詳報を是非お読みいただきたい。
 韓国「本と社会研究所」白源根代表の基調講演を受けるディスカッションは期待以上だった。小紙での40回にわたる連載「ソウル通信」で、韓国における国や自治体による読書推進、書店支援の取り組みを読むにつけ、わが国では?と思うことしきり。昨秋、ソウルで初めて白さんと会い、その謹厳実直な人柄に接し、その場で今回の登壇をお願いした次第。
 進行役を務めたアナウンサー・南美希子さんの存在も大きかった。大の読書家でもある。3回のフォーラムで感じたことなど、近々インタビューしてみたい。
 奇しくも、齋藤健さんと昨年ご登壇の上川陽子さんが、共に自民党総裁候補に意欲を示し、耳目を集めている。結果はどうあれ、活字文化の未来を憂うお二人の飛躍と、さらなる活躍を応援したい。

 

 某月某日

 

 一週間の夏季休業。今年も富士裾野の山小屋に籠る。親戚、友人、近所に住む元上司が次々に来訪。
 御殿場「山崎精肉店」で求めた金華豚などを連日七輪で焼く。標高1000mとはいえ年々暑さが増し、日中30℃近くになる日も。
 ふと思い立ち、生成ならぬ先生AI(ChatGPT)に訊いてみたら、「炎暑」は奈良時代から平安の漢詩や和歌、「酷暑」は中国の言葉で平安から鎌倉の文献にそれぞれみられ、「猛暑」は江戸時代、「激暑」は昭和から、「極暑」が最も新しく、平成の世になってから使われ始めたとある。ホンマかいな???

 

 某月某日

 

 休み明け。出社すると、暮しの手帖社・横山泰子社長から『花森安治の広告デザイン』が届いている。おっ!嬉しく、早速一読する。
 昭和24年、創刊第2号の中吊り広告は、「すこし感覚が高すぎたでせうか‥‥毎日の暮しを明るくしたいと本気で考えてる日本で最高の雑誌です」。一年間ほどは、花森氏のまっすぐな〝宣伝文句〟(コピー)が並ぶ。68年の、「石油ストーブから火が出たらバケツの水をかけなさい」は記憶にある。「まずは毛布で炎を抑えると」していた東京消防庁と真っ向から対立。自治省消防研究所の公開実験でバケツの水かけに軍配が上がったと。
 稀有の編集者は、コピーライター、グラフィックデザイナーでもあった。敬服の念に堪えぬ一冊。