【出版時評】2024年9月17日付

2024年9月24日

自民総裁候補に活字議連の上川氏

 

 自由民主党の総裁選には過去最多の9人が立候補した。この中には活字文化議員連盟会長の上川陽子外務大臣も含まれる。「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」幹事長の齋藤健経産大臣は出馬を断念したが、文字・活字に関心を持つ複数の閣僚が候補として挙がったのもこれまでなかったことではないか。

 

 上川大臣は出馬を表明する記者会見で、政策の一つとして「コンテンツ産業の活性化を国家戦略に設定」をあげた。上川大臣は昨年の当社主催活字文化フォーラムで、神保町について「国際的な活字文化の拠点にしていくことが可能ではないかと、確信している」と発言。政策の中には文字・活字メディアや書店の振興も含まれるのであろう。

 

 総裁選はあくまでも党内の選挙なので、自民党員以外は直接的な関与はできないが、こうした場で政策に掲げられることで、多くの国民の興味・関心を引くことは望ましいことであろう。

 

 もちろん、国会議員や政府が関心を持ったからといって、すぐに課題が解決するわけではないし、必ずしも業界全体が歓迎するわけでもない。ただ、こうした業界外からの視線を味方につけて、業界自らが変革を推し進める契機にすることはできるのではないか。そのためには、こうした動向を注視して、こちらから働きかけることが必要だ。【星野渉】