【出版時評】2024年10月1日付

2024年9月30日

イベントの季節

 

 10月から11月は出版業界のイベントが目白押しになる。今年再開される東京の「書店大商談会」や、昨年3年ぶりに開催された大阪の「BOOK EXPO」、そして月末からは「BOOK MEETS NEXT2024」に連動した催しが各地で開かれる。

 

 「書店大商談会」は2010年にスタートした。コロナ禍での中止などを経て今回が13回目となる。当初は「取引取次の枠を越えた商談の場」を標榜したが、この十数年で出版流通の形も大きく変わり、書店と出版社が直接商談する必要性はますます強まっている。その受け皿として発展していけるかが問われる。

 

 「BOOK MEETS NEXT2024」は、オリジナル企画が100以上、キャンペーン参加書店は3000店以上に達するという。今年は神保町を中心に「TOKYO BOOK NIGHT」も企画されるなどの広がりもみられる。

 

 ただ、イベントの数が増え、地域が広がるとしても、多くの人々が、この期間に出版物や書店を意識するようになるためには、個々のイベントを楽しんでもらうだけではなく、「バレンタイン」や「ハロウィン」のようにキャンペーン全体を印象付ける必要がある。

 

 最近は「読書の秋」を聞くことが減ったように感じるが、あらためて人々に「読書」や「書店」を印象付ける取り組みを期待したい。【星野渉】