【出版時評】2024年10月8日付

2024年10月8日

 

図書館装備の標準化

 

 書店議連や経済産業省「書店振興プロジェクトチーム」の議論などで、よく書店と図書館の連携について語られる。イベントやフェアの連動といった読書推進の取り組みや、図書館資料を書店から購入することなどが想定されている。

 

 図書館の資料購入については、自治体が図書館資料を地元書店から購入することを条例で定めているという韓国の例が取り上げられることも多いが、わが国では地域書店が公共図書館に直接納入しているケースは少ない。

 

 図書館に図書を納入する場合、フィルムコートや背ラベルなどを付ける装備をして、管理と検索に使うデータ「MARC」を合わせて収める。地域の書店が協同組合を作って対応しているケースもあるが、多くは専門業者である図書館流通センター(TRC)などに任せている。

 

 TRCの流通センターで、実際の図書館向け装備作業を見たことがあるが、その複雑さに驚かされた。図書館ごとに背ラベルやバーコードを貼る位置が微妙に違い、それぞれの図書館用の定規などを用意して作業していたからだ。

 

 ラベルの位置が数ミリ違うことに意味があるのだろうか。おそらく、標準化されることもなく、それぞれの図書館が決めた位置のままなのだろう。こうしたことも、書店による図書館納入を難しくさせているのではないかと感じた。【星野渉】