【行雲流水】2024年10月29日付

2024年10月28日

 某月某日

 

 食品業界の食いしん坊社長たちとベストシーズンのソウルに。空港から直行したのは鰻直焼きの店。ヤシの実の練炭で芳ばしく焼き上げられた鰻には持参した塩・胡椒が合う。ワインがあればよかった。
 夜は『良味屋』でタレ焼きの特厚上ミノとシマチョウを食べる。韓牛は牧草飼育ゆえにフル稼働する第一胃袋=ミノは分厚くなるという。アジュンマが熟練技でサッと焼いては再び皿に戻しタレに絡ませ二度焼きする。丁寧にハサミが入れられたミノをゴリゴリ噛みしだくお供は年々度数が低下しているという焼酎。ユニークなCM「それは楽し~いお酒」でお馴染みの「眞露」は当時35度だったが、最近の若者たちに人気なのはボトルデザインがお洒落な「セロ」16度。タレ味カルビと白飯で〆る。

 

 某月某日

 

 佐賀新聞社、西日本新聞社の両社長インタビューのために空路、福岡へ。早朝から日帰りのつもりだったが、調べると航空券代よりも、ホテルとセットの方がかなりお得。それならば、と前乗りする。
 夜、『味の手帖』9月号で食随筆家の伊藤章良さんが書いた「おのころ五合」で大阪事務所・堀雅視副編集長と落ち合う。定置網漁で獲った石垣鯛とカマス、一杯だけかかったアオリイカは活きたまま刺身でコリコリ、ゲソは焼いてくれる。脂の乗ったのどぐろ、伊勢海老は軽く炙って頭はお椀に。煮鮑はもち麦のリゾット、御飯に載せたしめ鯖とクエの握り。安くなった旅費では足りぬが、大満足。

 

 某月某日

 

 佐賀新聞社・中尾清一郎社長との初見。学生時代からエジプトに魅せられ、今も仲間とたびたび訪れている。「新聞の将来は暗澹としているが、優れたビジネスモデル。収益が上がっているうちに次の世代に〝撤退戦〟を背負わせることのないカタチにしていきたい」と。新聞界を鳥瞰し、オーナー経営者らしい中長期の視点で如何に変革を推進していくのか。紙面を通して発信・共有していきたい。
 続いて西日本新聞社・田川大介社長を訪ねる。ミッション系の大学時代に洗礼を受け、今も毎週教会に通い自分を見つめ直す時間を過ごす。真っ先に発した言葉は「選択と集中」。福岡エリアに重点を置き、根強いファンであるシニア層に向けて、地域に愛され欠かせない存在たらんとする取り組みに注力したいと。思わず目頭が熱くなる記者時代のエピソードも…。
 どちらも、新年号をお楽しみに。