「禁書」の動きと図書館・書店の関係
本号では海外4カ国の図書館と書店の関係について、各国の事情に詳しい人たちに寄稿していただいた。それぞれの国で状況はずいぶんと違うが、日本のように書店と図書館を競合と捉える見方はないようだ。
最近注目されている韓国では、10年ほど前から書店と図書館の関係が劇的に良くなった。背景には法整備があるという。ずいぶん長い間の紆余曲折もあったと聞くが、それを経て制度を整えることで状況を変えた好例だ。
一方、アメリカでは「禁書」が問題になっている。子どもに読ませたくない本を図書館や書店から排除する動きで、2分化するアメリカ社会の表れの一つだ。性表現やLGBTQに関する本などがやり玉に挙げられているという。
「禁書」運動の激しさを物語るように、アメリカの書店組合であるAmerican Booksellers Association(ABA)は、このほど会員書店向けに「抗議に対処するための6つのステップ」と「選書の課題に対処するためのスタッフのトレーニング」を発表。表現の自由を守る姿勢を明確にすることや、実際に抗議を受けたときの対処方法などを示している。
海の向こうの話に聞こえるかもしれないが、最近の国内を見ていると他人事ではなくなる日も遠くないかもしれない。そんな時は、書店と図書館の連携がいっそう問われることになる。【星野渉】