読書や書店の実態は?
メディアで取り上げられるなど、書店が話題になることが増えてきた。すぐに書店のビジネスモデルが破綻しているという根本課題の解決に結び付くわけではないが、出版業界以外で多くの人が関心を持つことは、書店の今後にとってプラスであろう。
トーハンが始めた小規模書店の開業サービス「HONYAL(ホンヤル)」にも、多くの問い合わせがあるという。ちょっと興味を持った程度のものもあるが、具体化しそうな案件もあるという。書店への関心の表れといえる。
BOOK MEETS NEXT特別イベント「これからの日本の出版界を考える」で、フランスの書店事情が報告された。フランスには独立系書店が3700軒あり、世界最多レベルだと報告があり感心したが、「日本も多いのでは?」とも思った。
JPOの統計で日本の書店数は1万軒程度だが、全国にある従来型の地域書店と最近増えている個人書店などを合わせた「独立系書店」はどの程度の割合だろうか。
日本出版学会の創立55周年記念講演会で登壇した韓国の白源根氏は、同国の読書事情を報告するなかで、日本では毎日新聞社が長年続けてきた読書世論調査を終了するなど、読書について継続的で詳細な統計がなくなったと指摘した。政府や国民に書店支援や読書推進を訴えるために、〝エビデンス〟は必要だと思うのだが。【星野渉】