【行雲流水】2024年12月3日付

2024年12月2日

 某月某日

 

 神保町シアターで「本を贈る」を鑑賞する。この映画、東京都書店商業組合が運営するユーチューブチャンネルで22年から配信している全9話のオリジナルドラマを繋げて映画版に編集したもの。今般、BOOK MEETS NEXTのイベントの一つとして上映された。

 

 会場は満席、若い人が多い。苦境にあって知恵を絞る跡取り娘、店で心を込めて選書する書店主…。〝あるべき街の本屋の姿〟がある。

 

 上映後、篠原哲雄監督と脚本家の千勝一凜さんが登壇。この映画(ドラマ)と続編、「本を綴る」への想いは本紙10月1日号のインタビューをご覧いただきたい。映画とユーチューブ、新旧のメディアがじわじわ及ぼす効果に、期待。

 

 某月某日

 

 「先輩の本棚」が下版、来月半ばに納品の運びとなる。著名人の選書したものが本を手にするきっかけになればと発行してきた冊子は5年目。昨年から若者に向けたものにリニューアルし15万部を配布している。今年は講談社・川端里恵人事部長、サンクチュアリ出版・橋本圭右編集長に、出版社で働く楽しさを語っていただいた。

 

 残念なのは、書店での活用が低調なこと。主要書店には同時期に開催する懸賞企画と合わせて3種のポスターと、POPなどの販促ツールはデータで送っている。経営者から芸能人まで多彩な顔触れの中から、顧客特性に合わせてチョイスし、POPを活用した売り場づくりに活用してほしい。

 

 某月某日

 

 2015年に父・明氏のあとを引き継いだジャパネットホールディングス・髙田旭人社長を囲む会。
 主力の家電と雑貨の通販事業が伸び悩む中、増収に寄与しているのが食品と旅行業。「日本一売れるお節」は何と43万個、「グルメ定期便」頒布会18万人、「富士山天然水」の会員16万人を擁す。旅行業の主役はクルージング。その他、全国のJ1~J3のスタジアムで半数以上が導入するキャッシュレスシステムも順調に拡大中。1000億円を投下し先月開業した「長崎スタジアムシティ」は圧巻。27年間かけて回収する見込みとか。

 

 「内政」にも辣腕を振るう。テストと面接により若手を抜擢、役職者の平均年齢38歳で女性比率は32%。社長・役員による判定で降格者は8%を超える年も。会議・商談を禁止する時間帯設置、等々。

 

 竜生竜子。65歳でバトンを託した創業社長は会長にもならず、一切口出ししないというのが潔い。