大手取次の出版物比率に大きな差
大手取次2社が今期中間決算を発表した。いずれも市況の厳しさもあり、出版物は減収傾向にあるが、両社の売上高に占める出版物の比率には大きな差が出ている。
日販グループホールディングスは連結売上高が1855億800万円に対して、日本出版販売の商品売上高(書籍・雑誌・コミック・開発商品)は1397億6900万円で比率は75・3%。トーハンは
連結売上高1891億8000億円に対して商品売上高(書籍・雑誌・コミック・MM商品)が1688億9500万円で比率は89・3%となる。
取次事業はいずれも損失を計上しており、日販が10億5800万円の営業損失、トーハンは9億2900万円の経常損失だったと発表した。損失幅が縮小しているとはいえ、運賃負担や市況の厳しさは続いているので今後も大きな改善は見込めない。
トーハンは来年からいよいよローソン・ファミリーマートの雑誌配送も引き受けることになり、出版物の売上増加が見込まれる。一方、日販は主に連結子会社が担う取次・小売事業以外の各事業がいずれも増収で、まだ全体に占める割合は小さいものの、海外事業、エンタメ事業、IT事業は2桁増だ。
両社とも出版流通を祖業として、これからも注力していく方針を掲げる。しかし、どうやって注力するのかという戦略には違いがみられる。【星野渉】