某月某日
平穏な正月。今年も〝浮世の義理〟で4か所から届いたお節を大晦日から親戚・友人が入れ替わりやってきて片付けてくれる。2日は、妻の誕生日を恵比寿「ル・コック」で友人夫妻と祝う恒例行事。そんな話を年末、中央経済社・山本憲央社長にしたら、翌日に同店で長男の誕生日を家族で祝った由。
歴史家の加来耕三さん曰く、「今年はどん底の年になる」らしい。日本の歴史は40年ごとに大転換を迎えるという「40年周期説」である。120年前の1905年、日露戦争の勝利は「終わりの始まり」。1945年、敗戦で焦土と化す。85年の「プラザ合意」を契機に急激な円高→バブル崩壊→リーマンショック→デフレで「失われた40年」。そして今年、〝トランプ・アゲイン〟がもたらすのは世界恐慌再来か、台湾あるいは朝鮮半島有事か?さても、恐ロシヤ…。
某月某日
キャピトルホテル東急の中国料理「星が丘」で、私が主宰する『味の手帖』4月号掲載の巻頭鼎談。
巻頭対談のホストは、2007年より牛尾治朗さん、茂木友三郎さん、宮内義彦さんが毎月交代で務めてきた。20年9月に牛尾さんが卒業した後継の人選は紆余曲折あったが、伊藤忠商事・岡藤正広会長が加わることになり、今般〝キックオフ鼎談〟を企画した次第。
共に御年89歳の茂木・宮内両氏に比べれば小僧っ子、と謙遜する岡藤さんは、連載中の「私の履歴書」の通り、人を逸らさないチャーミングな大阪人。毎朝4時半にファミマのおにぎりとヨーグルトで朝食を摂り5時半には出社。社員にも朝食の無料提供、50%増しの早出手当で「朝方勤務」を推奨する。社用車は全てナンバーが「211」。帰りしな、理由を聞くと、「社長指名を受けた日なんや」と。「履歴書」にある、「おふくろが大粒の涙を流した」日であった。
某月某日
出版・書店オーナー経営者6人で「新ばし金田中」にて新年会。横山大観の襖絵に囲まれた大広間で、22年に黄綬褒章を受章した松本昇料理長の料理を竹酒で楽しむ。岡副徳子女将の計らいで、新年を寿ぐ芸者衆の踊りも披露される。
5月末に新橋芸者衆が一堂に集う、「東をどり」。今年は第百回とあって、東京六花街をはじめ全国の花街から芸妓・舞妓が参集するらしい。花柳界は守るべき日本の伝統文化の一つ。銀座のキレイなお姉さんもいいが、美味しい料理と芸を磨くお姐さんを応援したい。【山口健】