【出版時評】2025年2月11日付

2025年2月18日

 

バーンズ&ノーブルが町にやってくる

 

 日本以外では書店が増えているという話を聞くことが多い。韓国では政府の書店支援もあり増加に転じ、フランスやイギリスでも増え始めているという。アメリカでは2009年以来、書店組合(ABA)に加盟する独立系書店が増え続けているが、経営不振だった最大手チェーンのバーンズ&ノーブルも積極的な出店を始めている。

 

 バーンズ&ノーブルは2024年に57店舗を開店し、今年も少なくとも60店舗をオープンするという。19年から指揮を執るジェームズ・ドーント氏が、店舗を地域読者に合わせる「独立系書店化」で巨大店舗から中小型店舗に移行していることもあるのだろう。

 

 この出店に対して、ABAは組合員書店に対し、「バーンズ&ノーブルが町にやってくる」として「バーンズ&ノーブルが町にやってきたときに取るべき 11の行動」を発表した。具体的な行動は組合員でないと閲覧できないので現時点では不明だが。

 

 何年か前にはアマゾンを共通の敵として、バーンズ&ノーブルの経営者がABA総会に招かれたこともあったが、出店攻勢に対してすぐにファイティングポーズを取る。常に前向きに戦う姿勢を示すABAらしさと、ユーモアのセンスに感心する。

 

 ちなみに、書店が増えている国では書籍市場も横ばいないし増加しているケースが多いようだ。【星野渉】