【出版時評】2025年3月4日付

2025年3月3日

オーディオブック市場は拡大するか

 

 街中でも電車の車内でも、人々がスマートフォンを手にしている光景は当たり前になっている。耳にはコードレスイヤフォンも。動画を見たり、音楽を聞いたりしているのであろう。そんな生活様式に適応する「読書」方法の一つがオーディオブックだ。

 

 かつてオーディオブックはそれほど大きな市場ではなかった。業界の出版統計でも数字を目にすることはほとんどなかった。しかし、人々が日常的に音源、再生機、聞く手段を身に着けるようになって、位置づけは変わってきた。

 

 以前からアメリカのオーディオブック市場は規模が大きかった。出版統計でも電子書籍が登場する以前からフォーマットとしてオーディオブックが取り上げられてきた。そのアメリカでもデジタル化によってオーディオブック市場がさらに伸長し、年間18億ドルを超え、電子書籍市場を上回ったという。

 

 日本でこのほど参入したスマートブックスはAIによる自動音声化が特徴だ。人が読み上げると数カ月かかる製作期間が最短ならわずか3日になるという。もちろんコストも安い。読み上げ機能とは違って、文章の区切りや抑揚なども自然に聞こえる。

 

 オーディオブック市場を拡げるには作品数を増やす必要がある。自動音声化のレベルが上がり、オーディオブック化が進めば、出版市場の拡大につながるのではないか。【星野渉】