書店を応援する作家の広がり
『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞した作家の瀬尾まいこさんは、書店を応援する活動に取り組んでいる。昨年刊行したエッセイ『そんなときは書店にどうぞ』では書店に還元するため著者印税の受け取りを辞退した。
さらに、同書刊行に合わせて書店への訪問を重ね、今年1月時点で西日本を中心に50書店ほどを訪れているという。販促のためではなく、あくまでも書店員に会うために。もちろん、サイン会やイベントには快く応じている。
また、近刊『ありか』(水鈴社)刊行に向けては、かねてから書店支援に力を入れ、自らも書店を運営する今村翔吾さんや、友人の町田そのこさんといった作家仲間とのコラボイベントを行うなど、書き手による書店応援が広がりを見せる。
発信力(影響力)を持つ書き手が書店を応援することは、政府支援などとは違った意味を持つし、書き手のファンはもとより、多くの人の共感を得られやすいだろう。
また海外の話になるが、アメリカ書店協会(ABA)のニュースには頻繁に著者が登場する。ABAでは事業として書籍の販促に取り組んでおり、以前から著者との距離が近いように見える。特に独立系書店を応援しようという著者が多いようだ。
著者の応援、政府支援、そして業界の改革がそろうと、書店再生の機運が盛り上がりそうだ。【星野渉】