【出版時評】2025年3月18日付

2025年3月17日

書店経営を支える技術革新

 

 経済産業省を中心とした書店振興は、関係省庁が連携して「書店活性化プラン」を策定している。4~6月にはプランが発表され、各省庁で政策が動き出すようだ。

 

 書店経営を改善するための業界内の動きもある。本紙の書店ソリューション特集のインタビューでいち早く無人営業を店舗に導入している三洋堂HDの加藤和裕社長は、実際の費用対効果などを示した上で、深刻さが増す人件費高騰と人手不足対策になると語っている。

 

 今井書店が運用を始めているポイントアプリとAIによる仕入返品システムは、売上増と業務効率化に結び付いているという。これまで書店では見られなかったような、かなり精緻な分析や検証を行うことができる。

 

 物流と製造(印刷)などを組み合わせるセルンのソリューションは、中小書店のECをサポートできるという。ドイツやアメリカではコロナ禍で休業を余儀なくされた中小書店がECを大きく伸ばしたように、規模にかかわらずネット対応は必要だろう。

 

 PubteXによるRFIDは、タグの装着率が5割以下でも、まず防犯で大きな効果を発揮している。通常の防犯タグと違って個品識別できるので盗難品をすぐに特定できたり、販売時にタグを抜きとる必要がないなどのメリットがあるという。技術的な進歩で書店を支える取り組みも必要である。【星野渉】