【出版時評】2025年4月1日付

2025年3月31日

「先輩の本棚」などの選書、朝日紙が掲載へ

 

 当社が行っている若者に向けて著名人が選書した本を紹介する「先輩の本棚」と、子どもに向けた「こどものための100冊」の両キャンペーンは、5回目を迎えて定着してきているが、この内容が全国紙を通して広く人々の目に触れることになる。

 

 朝日新聞は4月からの新紙面で、毎月第2日曜日朝刊に「あなたに贈る本」というページを設け、「先輩の本棚」と「こどものための100冊」に載った本を選者のコメントなどとともに1ページを使って掲載する。

 

 「先輩の本棚」、「こどものための100冊」ともに、一般企業や出版社などの協賛によって、毎年15万部ほどを発行し、高校や大学、保育園や幼稚園、書店、図書館などを通して提供している。長年、活字業界のお世話になってきたものとして、微力ながら将来の読者を育てる活動の一助になればと続けてきた。

 

 朝日新聞社には、読者を育てるという趣旨と、もう一つこの活動が目指す既刊本に光を当てることに共感していただいた。本の紹介が新刊中心になるなかで、時間を超えて読み継がれる既刊本を紹介することは、人々が質の高い本に出合う(本が面白いと感じる)ことにつながりやすく、出版社の経営に資することにもなる。

 

 これをきっかけに既刊書を若者、子どもに届ける試みがさらに広がることを期待している。【星野渉】