本の魅力を伝える書店の力
本屋大賞は22回目を迎えたが、今回の発表会はこれまでよりも来場者が多かったようだ。本が売れにくい時代だから、ますます期待が高まっているのかもしれないが、メディア関係者の数も増えていたようで、昨年来の書店振興の動きなどもあって、本への関心が高まっているのかもしれない。
第1回の発表会は、新宿区袋町にあった旧出版クラブ会館で行われた。今から考えると会場はずいぶん狭かったし、今のように多くの記者やテレビカメラが並ぶことはなかったが、その時から書店関係者など多くが来場し、会場は熱気にあふれていた。
読み手である書店人が選ぶこの賞について問われると、私は「本は面白ければ良いのだ、と思えて安心できる」と答える。ためになるとか役に立つも当然必要だが、ただただ面白いから読みふけった子どもの頃を思い出す。
そんな頃は、意識はしていなかったが新刊を手にすることはあまりなく、もっぱら定番と言われる小説などに手を出していた。読書に慣れていない時期に、時代を乗り越えた作品が本の魅力を教えてくれたのだろう。そういう意味で、本屋大賞にある発掘本もメディアなどがより大きく取り上げてくれるとうれしい。
この賞を見ても、本の魅力を伝えるために書店が果たす役割の大きさをあらためて感じる。そんな書店を支えることは重要だ。 【星野渉】