石原慎太郎の絶筆「死への道程」掲載『文藝春秋』4月号 3万部の重版決定

2022年3月14日

株式会社文藝春秋

『文藝春秋』4月号
 株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区、社長:中部嘉人)は3月10日発売の『文藝春秋』4月号の重版3万部を決定いたしました。
 発売初日の3月10日から、書店やコンビニ、Amazon、楽天ブックスなど即日完売店が続出しています。今回の増刷分は、早ければ 3月22日頃から店頭に並ぶ予定です。
『文藝春秋』の重版は、2016年9月号(芥川賞受賞作「コンビニ人間」掲載)以来6年ぶりとなります。

 石原氏は本年2月1日に亡くなりましたが、生前、親族に最後の作品を託していました。
 原稿には、石原氏自身により「死への道程」と題が付けられ、令和3年10月19日に病院で余命宣告を受ける場面から始まります。

以下、その一部を引用します。
〈「これで先生この後どれほどの命ですかね」
 質したら、
 即座にあっさりと
「まあ後三ケ月くらいでしょうかね」
 宣告してくれたものだった。
以来、私の神経は引き裂かれたと言うほかない〉

 石原氏はかねてから膵臓がんを患い、重粒子線治療を受けていましたが、再発していました。原稿には、この日以来はじまった「死」との格闘の日々が綴られています。

〈「死」の予感とその肌触りは人間の信念や予感までを狂わせかねない。死に対する当人がこしらえた様様な免罪符や安息も許さない。それは死に関するいかなる自己撞着も赦さない〉

 次々と脳裏に浮ぶ想念との葛藤の末に最後に浮かんできたのは、美空ひばりの往年のヒット曲の歌詞――「いつかは沈む太陽だから」。
 そして「死」との格闘は決着にむかいます。
「死への道程」(『文藝春秋』4月号掲載)
 4月号には、石原氏の最期を看取った四男延啓氏のインタビュー「父は最期まで『我』を貫いた」が同時掲載され、最後の数カ月に病床の氏が遺した言葉を紹介しています。
また芥川賞受賞作「太陽の季節」(『文藝春秋』昭和31年3月号の復刻版)も全文掲載されています。

■編集長 新谷学のコメント
「誰もが逃れることのできない『死』、自らの文学の主題でもあった『死』に直面して、闘う作家はどんな言葉を刻みつけたのか。芥川賞受賞作『太陽の季節』で日本の青春を描き、新たな時代を切り拓いた石原慎太郎さんが、絶筆『死への道程』によって、多くの読者の心を震わせたことに改めて敬服いたします」

■掲載誌
掲載誌:『文藝春秋』4月号
発売日:2022年3月10日
特別定価:1, 100円(税込)
出版社:文藝春秋
https://bunshun.jp/list/magazine/gekkan-bunshun
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