株式会社新潮社
読書離れの若者をつかむトリックとは?
昨年最も売れたミステリー小説『#真相をお話しします』(結城真一郎・著/6月30日発売)の勢いが、刊行から一年が経ったいまも止まりません。発売直後から全国書店で次々にベストセラー1位を獲得、完売店続出、海外翻訳が決定、数々の著名人から熱いコメントが届くなど、話題沸騰!「今までに読んだことのない新感覚」、「ページを読む手が止まらない」、「予想のはるか上を行く結末!」など口コミが寄せられ「2023年本屋大賞」にノミネート。
このたびさらなる増刷が決定し、累計発行部数は22万部を突破しました。
※昨年のミステリー売上第一位は、2022年発売・三省堂書店調べ
■読書離れの若者にヒットの理由は"動画感覚"のミステリー
本離れが進むZ世代に、いかに小説を読んでもらうか。結城さんはその戦略のひとつとして、Youtube動画の特徴を本書に取り入れています。
例えばそれが顕著である収録作「#拡散希望」では、
・「入口10秒で心をつかむため、冒頭を重視」
・「時系列を入れ替えてテンポを上げる」
・「違和感を積み上げて見事に着地させる伏線回収」
・「読者を”視聴者”に位置づけ、作中に経過時間を表記する斬新な構成」
など、文体や表現、そして創作方法まであらゆる工夫が凝らされています。
その工夫が作品世界への没入感を演出、小説を読み慣れていない若い読者にも広がり、ついに新人作家として異例の累計22万部突破に至りました。マッチングアプリやリモート飲み会など、若者に身近なテーマ選びも相まった「今までに読んだことのない新感覚」小説にZ世代をターゲットにしている各メディアから取材が殺到。かつてないヒット現象となりました。
■著者はミステリー界の超新星・結城真一郎
著者の結城真一郎さんは21年、今作にも収録されている「#拡散希望」で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。二転三転するプロットや伏線回収の巧みさ、YouTuberを題材にした、テーマの現代性等が高く評価され、平成生まれ初の受賞者になりました。まさにいま最もホットなミステリー小説界の超新星です。
■『#真相をお話しします』帯には豪華3名の著名人に推薦コメントをいただきました
虫眼鏡さん(東海オンエア/YouTubeクリエイター)
「絶対に読者を騙してやろう」という凄まじい執念に恐怖すら感じました……。
有栖川有栖さん(作家)
「騙されて驚くためにミステリを読む」という読者に恰好の贈り物。
南沢奈央さん(女優)
凄い間違い探しに手を出してしまった!始めた以上はやめられない。
■発売前に海外翻訳決定!韓国版出版社よりコメントが到着
凄まじい反響は海を越え、発売前に本書の海外翻訳が決定しました。ネクストブレイク作家の新作が発売前に翻訳決定に至るのは、極めて異例のことです。韓国版を刊行する出版社、BY4M 出版事業部 編集長・李起雄氏のコメントが到着。さらに、中国、台湾、タイでも翻訳が決定しています。
================
特別無料公開された日本推理作家協会賞受賞作「#拡散希望」を読んだ時、日本のミステリーの愛読者であり編集者として「この作品を韓国読者に紹介したい!」という熱い熱望が沸き起こった。そして、この業界で長く働いている一人として「これは絶対に売れる!」という確信があった。
最近のミステリーは、異世界とか、透明人間とか、ゾンビまで登場させ、ミステリーの限界を突破しようとする。その中で、『#真相をお話しします』は、「十分な手がかりの提供と適切な伏線の配置」という読者と作家とのフェアなゲームを繰り広げて、まさに驚愕の逆転に導く正統ミステリーだと思う。
そして何よりこの短編集の最も大きな魅力は私たちが生きている「今」を描いているという点である。しゃれに言えば「コンテンポラリーなミステリー」であり、日本的に言えば「令和の推理小説」と言えるだろう。
BY4M 出版事業部 編集長 李起雄(LEE KI WOONG, イ・ギウン)
※日本語訳/Danny Hong Agency 金永喜(Younghee KIM,キム・ヨンヒ)
================
■なぜミステリで「現代」を描くのか。ミステリの可能性とは。
本作ではYouTuberやマッチングアプリ、精子提供、リモート飲み、など「現代的なテーマやガジェット」がふんだんに取り込まれています。現代的なテーマにミステリを織り交ぜたかつてない読み味は、まさに新世代ミステリの幕明けを予感させます。今だからこそ、そして、「当事者」のひとりである結城さんの世代だからこそ書けたといえる、批評性に富んだ作品です。
なぜ作品に「現代的要素」を取り入れてみようと思ったのか。結城さんは次のように語ります。
================
新たな技術や価値観がもたらされる中で生じる「日常の歪み」や「新たな動機」に興味がありました。生活をより豊かにするための技術や道具が世に出てくれば、当然のようにそれを悪用する人もでてきます。新たな価値観が世に浸透すれば、当然のようにそこから「今までの常識では考えられない動機」も生まれます。
例えば、“迷惑系YouTuber”は「視聴回数を稼ぐため」に迷惑行為、下手したら犯罪行為に及びますが、これはほんの十年前では考えられなかった「動機」です。しかし、事実としてそれを楽しみにしている視聴者も居ますし、それが先の「動機」をより切実なものとしている側面もある。また、それらの迷惑行為に対して否定的であるいっぽうで、「でも、それをされたら、人はどういう反応をするのだろう」と怖いもの見たさにも似た興味を覚えてしまう自分が居るのも事実でした。
このもやもやとした割り切れない感情が原体験となり、ならば作品を通じて「すこぶる歪で、従来の常識ではとても考えられないけれど、いまを生きる私たちとどこか地続きのようにも思えてしまう事件・人間模様」を描いてみたいと思ったのです。
================
そして、「現代」を持ち込むことは、ミステリを“進化”させる可能性も秘めていると言います。
================
「現代的なテーマ」とミステリについては、親和性が高く、可能性は無限に広がっていると感じます。例えば捜査技術の発展により古典的なトリックの一部が陳腐化してしまったりする例をよく聞きますが、先述の通り、「現代的なテーマ」ひいては「新たな技術や価値観」からは従来ではありえなかった目新しい動機・トリックが産み落とされる余地が多分にあると考え、本作でも自分なりに実践したつもりです。
ただ、執筆の根底には、あくまでエンターテイメントとして、普遍的な人間の心理を描くのだという意識もありました。どれだけ時代が移り変わり、技術が発展しようとも、結局最後に人を突き動かすのは「普遍的な欲求・感情」であろうとも予感もしています。それをいかに自然な形で物語に忍び込ませたのか、ぜひご注目いただければ幸いです。
================
■本書収録「日本推理作家協会賞」受賞短編、異例の全文無料公開!
『#真相をお話しします』より、「日本推理作家協会賞」受賞短編「#拡散希望」を全文収録した無料お試し特別版を各電子書籍書店にて配信中。新潮社HPでも全文をお読みいただけます。
*【新潮社HP】全文無料公開・試し読み:https://www.shinchosha.co.jp/book/352234/preview/
*【電子書籍】全文収録・無料お試し特別版:https://ebook.shinchosha.co.jp/book/E053311/
Kindle版:https://www.amazon.co.jp/dp/B09YCY982H/
■著者紹介:結城 真一郎(ユウキ シンイチロウ)
1991年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒業。2018年、『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年に同作でデビュー。2020年に『プロジェクト・インソムニア』を刊行。同年、「小説新潮」掲載の短編小説「惨者面談」がアンソロジー『本格王2020』(講談社)に収録される。2021年には「#拡散希望」(「小説新潮」掲載)で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同年、三冊目の長編作品である『救国ゲーム』を刊行し、第22回本格ミステリ大賞の候補作に選出される。
■書籍内容
家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。
■書籍データ
【タイトル】#真相をお話しします
【著者名】結城 真一郎
【判型】四六判(224ページ)
【本体定価】1,705円(税込)
【発売日】2022年6月30日
【ISBN】978-410-352234-8
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/special/shinso/
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ