【日販調べ】2024年 上半期ベストセラー発表 総合第1位は『変な家2 ~11の間取り図~』(飛鳥新社)

2024年6月5日

日本出版販売株式会社
日本出版販売株式会社(代表取締役社長:奥村 景二、略称:日販)は、2024年5月31日に「2024年 上半期ベストセラー」(集計期間=2023年11月22日~2024年5月20日)を発表しました。

■ランキングの詳細は、下記からご覧ください。
https://www.nippan.co.jp/ranking/annual/

■ランキング全体の傾向
1.「ライトな読者」にヒット 「タイパ」「コスパ」意識も継続
10代から20代の若者や、普段本をあまり読まない「ライトな読者」にもヒットする、読みやすい内容や構成になっている作品が多くランクイン。
加えて、面白いものを短時間で選んで読みたいという、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスの意識からか、映像化やタイトル受賞による話題や評判が拡散された作品が、大きく伸びる傾向が顕著に。
2.「感情移入」「共感性」がキーに
作品の内容や主人公に読者が「感情移入」できるものが好まれ、そこから生まれた「共感」がさらに作品の話題や評判を呼ぶ傾向がみられた。
また、読者のSNS投稿で話題になっている作品が上位にランクインしていることから、自分の関心が強いトピックスが表示されるSNSの特性によって「共感」が生まれやすく、「バズり作品」を生み出すきっかけになっていると考えられる。

■ジャンル別の傾向
【総合】あなたも「変な家」に迷い込む!?読み出したら止まらない、異例の不動産ミステリーが上位に
家の間取り図から生まれる謎を解き明かす、人気シリーズ最新刊『変な家2 ~11の間取り図~』が2024年上半期ベストセラー第1位となった。
本作は、ホラー作家でYouTuberとしても活躍する雨穴によるオカルトミステリーであり、内容は間取り図から謎やトリックを読み解くというもの。作品内に図が多いことで、普段本を読まない人でも手に取りやすく、2024年3月に映画化されたことでさらに注目を集めた。シリーズ第一作目となる『変な家』は、紙の書籍の累計発行部数94万部を突破した。(2024年5月30日時点)。
第4位には同シリーズ既刊の『変な家』、第7位に『変な絵』がランクインし、文庫ジャンル第1位の『変な家 文庫版』も含めて、「変な家」シリーズの大旋風が巻き起こった。
第5位にランクインした『成瀬は天下を取りにいく』は、女子中学生が独自のキャラクターを武器に、夢を叶えるため友達や周囲を巻き込んでいくみずみずしい物語。舞台となった滋賀県大津市を中心に全国へ人気が拡大し、本作が作者のデビュー作にもかかわらず「第21回本屋大賞」の大賞を含む多くの賞を受賞した。2024年1月に刊行された続編『成瀬は信じた道をいく』は第16位にランクインし、成長し大学生となった「成瀬」が自分の道を信じ抜き、突き進む爽快な姿が人気を集めた。普段本を読まない人や若い世代を惹きつけるような、新鮮な物語が本の購買にも現れる結果となった。
一方で、手堅い人気作品も昨年に引き続きランクインしている。第2位・3位は、老若男女から支持されている『大ピンチずかん2』と『大ピンチずかん』。世の中の様々なピンチを「大ピンチレベル」と「なりやすさ」で分類し、対処法を描いている人気シリーズ。『大ピンチずかん』は、絵本賞8冠を獲得したことでも話題となった。ほかにも人気の絵本シリーズである『パンどろぼうとほっかほっカー』や『頭のいい人が話す前に考えていること』など、昨年から引き続き人気を集めている作品が上位にランクイン。数ある商品の中から、いいものを堅実に購入したいという「タイパ」や「コスパ」が重視される昨今、面白さや人気にすでに定評のある商品がよく読まれている傾向がうかがえる。

【単行本フィクション】雨穴!成瀬!“ライトな層にも深く刺さる”小説が台頭
雨穴の『変な家2 ~11の間取り図~』『変な家』が第1位、第2位となった。2023年年間ベストセラー単行本フィクションジャンルでは『変な家』が第1位を獲得しており、今回は新作が第1位を獲得したことで同シリーズでの連覇となった。2024年3月に映画化した「変な家」の効果もあり、関連作品が軒並み上位にランクインしている。第3位は『成瀬は天下を取りにいく』。滋賀県を舞台とした青春小説で、タイトルや主人公である成瀬のユニークさが話題となった。「第21回本屋大賞」の大賞を受賞したことでさらに人気が加速し、続編の『成瀬は信じた道をいく』も第6位にランクイン。そのほか、黒柳徹子『続 窓ぎわのトットちゃん』や凪良ゆう『星を編む』、東野圭吾『あなたが誰かを殺した』など、人気作家・著名人の作品がランクインする中で、目新しさを感じさせたのは第8位にランクインした『すべての恋が終わるとしても 140字の恋の話』。140字で完結する切ない恋の物語の超短編集で、30秒で泣けるとSNSで話題となり、書籍を紹介する関連動画がTikTokで公開され人気となった。

【単行本ビジネス】『頭のいい人が話す前に考えていること』が第1位!
発売当初からSNSで話題となった『頭のいい人が話す前に考えていること』が、2023年年間ベストセラー単行本ビジネスジャンル第1位獲得に引き続き、2024年上半期ベストセラーでも第1位となった。
世相を反映してか、資産形成・運用に関する商品も好調。2024年1月から開始となった新NISAに関する入門書である『はじめての新NISA&iDeCo』は、オールカラーで導入マンガなどを掲載した、これから資産運用を始める人にもやさしく、わかりやすい内容が人気を集めた。ほかにも『きみのお金は誰のため』、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』などがランクインした。

【新書フィクション】「ハイキュー!!」が上位を席巻!映像化により話題となった商品が好調
『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が第1位となった。2024年2月に公開して大きな話題を呼んだ映画のノベライズで、シリーズ内でも屈指の人気を誇る試合が描かれている。また、第2位以下には、「ハイキュー!!ショーセツバン!!」シリーズがランクイン。本作品は、「JUMP j BOOKS」の創刊30周年企画として、映画化のタイミングに合わせ、スポーツ雑誌「Sportiva」とコラボし、全巻で全面帯替え・チケット風しおり特典をつけたもの。SNSでも大きな話題となり、推しキャラクターの特別帯を購入するため、買い直しを行うファンも多く、シリーズ累計発行部数339万部を達成した。第4位は、アニメ化やそれに伴う楽曲の人気により、話題となった「推しの子」の本編開始前を描いた『【推しの子】 ~一番星のスピカ~』。上位ランクインのほとんどが、映画化・アニメ化によって話題となった作品であり、映像化による話題からの購入傾向がみられた。

【文庫】『変な家』が文庫でもトップに!映像化による人気や、過去の名作の掘り起こしも
大人気シリーズの『変な家』の文庫版が第1位となり、「変な家」シリーズが総合・単行本フィクション・文庫ジャンルでの三冠を達成した。第2位は『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』。人気シリーズの第一作目であり、コロナ禍で過疎化した田舎町を舞台に発生した殺人事件の真相に迫っている。第3位は『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』がランクイン。戦時中の日本にタイムスリップした女子高生と特攻隊員の恋を描いたラブストーリーで、当初TikTokの投稿をきっかけに中高生の間で「泣ける」と話題になり、2023年12月に公開された映画のヒットを機に人気が再燃した。ほかにも『アルジャーノンに花束を 新版』『ある閉ざされた雪の山荘で』など、映像化やSNSでの盛り上がりにより、過去の名作が再度見直される傾向も見られた。

【写真集】乃木坂46 5期生初の写真集『あの頃、乃木坂にいた』が第1位を獲得
乃木坂46の5期生初の写真集『乃木坂46 5期生写真集 あの頃、乃木坂にいた』が第1位となった。2022年2月に加入した5期生11人による写真集で、修学旅行のようなカットや初期メンバーの写真集のオマージュカットも掲載されるなど、注目を集めた。第2位には乃木坂46の3期生メンバー、山下美月の写真集『乃木坂46山下美月2nd写真集 ヒロイン』がランクイン。2024年5月に卒業コンサートを終えた山下美月のアイドル活動の集大成となる1冊となっている。第3位には、松本潤の初のソロ写真集『JUN MATSUMOTO 20220830-20231026 THE RECORDS OF DAYS OF LIVING AS IEYASU』がランクイン。39歳の誕生日である2022年8月30日から、大河ドラマ「どうする家康」がクランクアップを迎えた2023年10月26日までの記録が収められている。

■日本出版販売は書籍・雑誌の流通を担う出版販売会社(出版取次)です。
■弊社ベストセラー情報は、約3,000軒の書店様のPOS販売データを基に、全国の書店様での販売状況を総合的に勘案して作成しております。
■集計期間は2023年11月22日~2024年5月20日です。

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